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2006年 03月 20日
建築士制度の実状
m-morioさんの最後のご質問

Q3
アネハ問題が表面化した後、建築士の団体が国土交通省へ提言をした中に「建築士の免許登録更新制度を導入すべき」というのがありました。これって 個々の建築士にとっては不利になることではないのでしょうか。なぜ敢てそこまでの提言ということになるのでしょうね。
この「免許登録更新制」は、国家試験をパスして命に直結することを生業にしている人っていますよね・・・時々世間をも騒がす・・・そちらのほうなら納得できるのですがね~。

A3
まぁ、これは業界団体の動きですから、私のような者に真意は正確にわかりかねますので、現状のご説明と推測を・・・・。

建築士制度の成り立ちは昭和20年代でしょうか?戦後復興に伴いバタバタと建物を作っていた頃に基準法と共に作られた制度のはずです。1級2級、そして今は木造建築士という制度もあります。また、業界団体としては、「建築士会」「建築士事務所協会」「建築家協会」と主に関連しそうな団体は3つ。まずはこのあたりを、頭の片隅に置いていただいて、、、、

建築設計の業務は、複雑多岐にわたっています。設計だけでも、現在、問題になっている「構造」業務。更に電気関係の設計、給排水関係の設計、そして、いわゆる間取りやデザインを考える「意匠設計」、主に4つでしょうか、、、。確認申請上は、これらを全て、一人の人間が行っている事になっています。建築士制度が出来た頃は可能だったのでしょうが、今では到底不可能。設備なら設備、電気なら電気のそれぞれの資格をもった方にお願いして、設計を進めています。しかしながら、彼らの大部分は建築士の資格はありません。今回札幌で、二級の人間が構造設計を行っていた事が問題になっていますが、「改竄」や「知識不足・能力不足」の責は責められるべきでしょうが、「二級では設計できない規模を、、云々」というのは、全くおかしな話で、報道では「元請け」となっている事務所が本来的には全ての責を負うべきと私は考えます。そうじゃないと、実質は設備設計や電気設計に関しては制度上無資格の人間が行ってる訳で、なんで、これは罰せられないのという理屈になってしまいます。仮に彼ら(構造も含めて)が全て違法という事になれば、しばらくの間、日本の経済は成立しなくなるであろう、、程、普通の事として行われていますし、それは行政も充分承知のはず。このあたりの制度整備を怠ってきた国土交通省の怠慢と思わざる得ません。

実は、更新制度のトライアル板というべき事は行われています。「建築士会の継続能力開発(CPD)の概要」ただこれは、あくまでも今の段階では「みんな継続して勉強しようね。。。。」という事だけであり、建築士そのものの免許更新という制度には至っていません。故に、建築士会に所属していない大部分の建築士(私も所属はしておりません。必須という制度では無く、なかなか普及していないようです。多分、今回の提言は、この制度を念頭にした建築士会の提言かと想像します。

登録更新制、、、多分、私見では素直には成立しないと思います。実は、建築士の資格、取ったらそのまんま、、、というのが実状です。つまり、誰がどこに住んでいるのか、何をやっているのか、極端な話、生死も含めて、誰も、何も、総体として把握していないのです。もちろん、届出用紙くらいは、どこかにあるのでしょうが、少なくても私の周りで、転居したからといって、届出をした人間を知りません。私も出した事はありません。数十万人いるらしいですが、これも推定値。アクティブに建築に携わっている人間の数など誰も知りません。登録更新制度を行うのであれば、このあたりの把握をしなければ、成立しませんし、むしろ、今の野放し状態を非難されるのが怖い国土交通省としては、建築士とは別に、非常に業務範囲の狭められた、例えば「建築設計設備士」とか、「建築構造設計士鉄筋コンクリート対応」みたいな細分化された資格を考え出し、新規に全体像の把握に努めるのではないかと思います。

今日は、、、ここまで、、、(^m^)/

何かご質問ございましたら、ご遠慮なくこちらまで
mail to ㈱北工房建築設計室 栃木

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by kitakobo | 2006-03-20 13:26 | 上手な設計依頼


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